スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
篠田先輩と一緒に四つ葉を出て、少しだけ本屋さんに寄りたいな。

「この後、本屋さんに寄ろうと思って」
「私も寄ろうかな。好きな海外グループが表紙の雑誌が発売なんだ」
「良いですね。どんなグループ何ですか?」

篠田先輩と一緒に電車に乗ってS駅の駅近にある商業施設の中にある本屋さんに立ち寄り、2人で色んな雑誌を手に取りながら読みたい雑誌を選ぶ。

あ、スポーツコーナーに“Scoperta”の6月号が置かれていて、こうして書店に並んでいるのが嬉しい。

買う人がいないかなって離れた所から様子を伺い、すると仁さん位のスポーツ刈りの髪型で30〜40代の男性がスポーツコーナーに立ち止まって、雑誌を幾つか手に取って、そこから“Scoperta”をじっくりと中身を見ていて、その後はもう一冊の雑誌も選んでお会計の方に行くのを見て、わぁ!購入する所を初めて見た!

篠田先輩がほくほくとした表情でお会計から戻ってきて、私の顔を見て笑う。

「ニヤけすぎだよ」
「初めて“Scoperta”の雑誌を買う人を見ちゃって、ニヤけちゃうんですよ」
「そうなの?見たかったぁ。今回も気合い入れて作ったし、7月号も頑張ろうね」
「はい!」
「宝条さんは何か買うの?」
「この前は恋愛小説を買ったばかりで、漫画にするか、たまには違う雑誌もどうかなって」

ファッション雑誌や生活、音楽等、篠田先輩と一緒に見て周り、料理本のコーナーに足が止まる。

そういえばシェアハウスに住むようになって仁さんと一緒にご飯を作るようになったけど、レパートリーを増やしたいな。

お互い帰宅時間がまちまちで夜ご飯は約束があれば作る感じで、朝ご飯なら一緒に過ごせるのが多いし、私がシェアハウスに来るまでは仁さんは食事が適当にしてたって言ってたよね。

朝ご飯向きなレシピ本ってあるかな?とキョロキョロと探すと、あった!

手を伸ばして、和食、洋食と少ない材料で作れそうな物もあるし、お弁当の具材に回せるようなページもあるから、これにしようかな?

レシピ本を手に取ってお会計し、S駅に向かい、篠田先輩とは駅のホームで別れ、一路シェアハウスの最寄り駅に向けて電車に乗る。

電車に揺られながら、そうだ、仁さんに本屋さんに立ち寄って今から帰ることを伝えなきゃとスマホを取り出して、メッセージを送った。

直ぐ既読になり、『四つ葉を出た。夕飯は自分でスーパーで買うから、ホットミルクは一緒に飲みたい』と返信があって、私も『分かりました!待っています』と返信する。

最寄り駅について、シェアハウスに向かい、玄関を入って荷物を整理して、キッチンで夕飯を作って、リビングで黙々と食べた。

仁さんが帰ったら、本屋さんにで“Scoperta”を買った人を見たって話そうっと。

お風呂に入ってリフレッシュして、仁さんが帰るまでリビングでノート書きの準備をローテーブルに置いて、少しだけレシピ本を読もう。

小さいソファに座って、ぱらっとレシピ本の中身を見ると、うーん、苦手な人参があると駄目だし、それを省いて作れば大丈夫かな?とあれこれ考えていたら玄関のドアが開かれる音が聞こえ、リビングのドアが開いて、スーパーの袋を持った仁さんが入ってきた。

「おかえりなさい」
「ただいま。これから夕飯を食べる」

仁さんはキッチンに向かい、私はレシピ本にまた集中して読み、ガサゴソと音が聞こえるなぁと思いながらレシピ本を読み続けた。

大きなソファに仁さんが座り、手にはサンドイッチと野菜ジュースを手にして、黙々と食べていると、私の方に顔を向ける。

「レシピ本を買ったの?」
「レパートリーを増やしたくて。一緒に朝ご飯を食べるのが多いので、それ向きの買ったんです。そうだ、篠田先輩と一緒に本屋さんに立ち寄ったんですが、その時にー…」

私は仁さんに“Scoperta”の雑誌を買った人を初め見て、嬉しかった事を興奮気味に話す。

「ずっと買う側でしたし、作る側に回ると買った人を見るとこんなにも嬉しいんだなって思いました」
「その気持ち、忘れないで」
「はい!やっぱ“Scoperta”って男性が買うのが多いんですね。読者アンケートでも男性の比率も多いですし」
「確かに、スポーツコーナーは割と男性が好む雑誌コーナーの近くに置かれるな」
「女性というか、幅広い年齢層に届けたいです」
「営業も頑張って書店周りをしてくれているし、6月号も皆が頑張ってくれたから、部数会議で勝ち取った数はいける」

仁さんはテレビ放送の時間までずっと“Scoperta”の話しをし続けた。
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