スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
車から降りてきた仁さんの姿に、張り詰めた緊張感が解けたのか、私は顔がくしゃっとなり、足早に仁さんに近づくと両腕を広げられ、私はその胸元に抱きついて顔を埋めると仁さんが優しく背中を叩いてくれる。

「“一緒に帰ろう”?」
「………」

私は黙って何度も頷くと仁さんは腕の力を緩め、私の左腕を掴んで助手席側のドアに連れて行き、ドアを開けてくれたので静かに乗るとドアが閉まり、仁さんも運転席に乗り込んだ。

「シェアハウスに帰るよ」
「はい…」

小さく返事をするとエンジンがかかり、車が動き出す。

「……芹澤に伝えました」
「うん」
「……そうしたら……」

居酒屋での出来事を言いたいけれど緊張して、膝の上に置いた両手をギュッと握る。

「……芹澤から…告白…さ…した」
「そう…」

最後は小声で言い、仁さんも小さく返事をする。

車の中は音楽やラジオはついていないから車の走行音だけが聞こえ、信号が赤になると車は静かに停まり、私は仁さんの方に顔を向ける。

「芹澤にはご免って言いました」

すると仁さんが私の方に顔を向けて、大きな左手で私の頭の上にポンっと置く。

「お疲れ」
「はい…」

仁さんの左手が頭から離れ、また車が動き出し、私は左側の車窓からの景色を眺めていたら、車は高速道路を経由して走り続け、やがてシェアハウスに到着すると、車は駐車スペースに停まり、私達は車から降りてシェアハウスの中に入った。

仁さんが大きな左手で私の右手を握って、2人で靴を脱いでリビングを経由してキッチンに行き、2人でホットミルクを作り始める。

ふつふつと湧くミルクを見つめていると仁さんは火をバチっと消して、マグカップに注ぎ、リビングには移動せず、この場で2人でホットミルクを飲んだ。

余程緊張感が続いていたのか、ホットミルクの温かさが緊張感をほぐしてくれて、口を離すとふぅっと息を吐く。

「落ち着いた?」
「まだ…」

まだ気持ちが落ち着かなくて、友達としてみていた人からの告白を断るのってこんなにも胸が痛くなるんだ。

もし私が芹澤の立場で仁さんに告白をして、仁さんから断われたらー…、こっちの方も胸が痛く…、人を想う事や想われる事って、恋愛って色んな感情が出てきて、苦しくて、顔を俯く。

「苦しいです」
「うん」
「心が…痛いで…」

すっていう前に仁さんが私からマグカップを取ってシンクに置き、私の腰に手を添えて体を持ち上げてシンクに腰掛けさせると、視線の高さが仁さんと同じ位になる。

仁さんは私の頬を大きな両手で優しく包み、眼鏡をかけているから漆黒の瞳がよく見えて、その真剣な眼差しを逸らすことが出来ない。

「告白、断ってくれてありがとう」
「…い」
「真琴はどうして欲しい?」
「……ギュッとして欲しいです」
「良いよ」

仁さんが優しく抱き締めてくれて、私は脚を広げると2人の距離がより縮まって、私は仁さんの肩に顔をポンっと寄せて温もりに身を任せると、仁さんは私の髪にキスを沢山してくる。

顔を見上げると仁さんは眼鏡を外し、顔が近づいてきたので瞼を閉じれば唇が重なって、少し離れてもまた重なって…、自分の腕を仁さんの背中に回してもっと距離が縮まって…、自分の心の中の不安を無くすように、埋めるように仁さんに甘え続けた。

名残り惜しく唇が離れ、熱い息をふぅっと吐くと、仁さんはまた私を抱きしめる。

「まだ痛い?」
「痛くないって言えば、嘘になっちゃいます」
「確かにそうだよな」

仁さんの手が私の背中を優しく撫で、不安な気持ちを落ち着かせようとする。

「恋愛って小説よりもこんなに胸が張り裂けそうになったり、ドキドキしたり…、色んな感情が胸に広がるんですね」
「俺も…、真琴に出会えなかったら傍にいたいと思ったり、亮二達に嫉妬する感情を持たなかった」

仁さんの腕の力が緩み、顔を見合わせる。

「これからも喧嘩したり嫉妬したり…、泣かせてしまう事があるけれど」
「はい」
「真琴とはこのシェアハウスで過ごしたいから、お互いの気持ちを伝えあおう。そして一緒に乗り越えよう?」
「はい…」

仁さんのまっすぐな気持ちに返事をすると、仁さんが私の手を取ってキッチンを経由してリビングを出て、階段を上がる。

そして仁さんの部屋の前にピタッと止まり、私に顔を向けたので、この後の展開は想像が出来た。

「不安な気持ち…、仁さんでいっぱいにして欲しいです」

顔を見上げて気持ちを伝えると、仁さんの口元はフッと笑い、部屋のドアを開いて一緒に入った。
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