スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
side高坂稔
仁との通話を終えて車の後部座席に深く体を沈ませて、少し息をふぅっと吐く。
「仁君ならやり遂げるよ」
「ああ」
祐一は前を向いたまま話し、俺は車窓の景色をじぃっと見る。
頭の固い親父から言われた“Scoperta”の“休刊”を阻止しようとスポーツ部の全員が頑張ってくれて、取材相手の不祥事で記事の掲載が2回も吹っ飛んだのは想定外だった。
それでも佐藤と仁はもう一度原稿に向き合って書き上げたし、水野が仁に挑戦を出して3日で書き上げた記事も凄く、秋山もカメラの腕を相当上げたもんな。
でも1番なのはー…
「宝条さんが四つ葉に、スポーツ部を選んだのが1番大きいな」
「そうだね。俺が体調不良で暫く来れない前なんて、仁君は今もだけど凄く淡々としていたし、メンバーも活気が少ない感じだったね」
祐一が言うように、ほんとスポーツ部って暗い部分があった。
「こう言うのも悔しいけど、“休刊”の対象にならなかったら、スポーツ部は駄目になっていたかも」
“休刊”の事を伝えたら宝条さんが1番最初に“休刊”の反対を唱え、そこから一気に皆の士気が高まった。
「仁も編集長としての意識が強くなった。もう俺が編集長だったスポーツ部よりも、全然良いもんな」
「寂しい?」
「い〜や、むしろ嬉しいのが強いね」
いつも前髪でどんな表情をしているかなんて分かりづらいけど、“社会科見学”の時や佐藤の原稿で進めようと意固地になったり、涙を流す所なんて初めて見たし、メンバーも最初は嫌な奴ばかりが多くて仁は相当苦労したけれど、田所と佐藤が四つ葉に来てからは徐々に良くなったもんな。
そんな変化を見れたのが嬉しいし、もっと仁がスポーツ部を引っ張って欲しいし、そろそろ俺も役職を昇格させたいな。
「親父が早く引退して引っ込んでくれないと、四つ葉の成長が止まるんだよなぁ」
「簡単には引退しなさそうだけど」
「やっぱそう思う?」
2人で親父の頑固さに笑う。
「俺は稔が社長になるのは賛成だし、ずっと味方だよ」
「やだ、稔、嬉しくて泣いちゃう」
両手で顔を覆って泣き真似すると、前方から溜め息が聞こえたので両手を離す。
「祐一」
「ん?スピードを緩める?」
「いいや。今日の結果の後さ、久しぶりにサシで飲もうよ」
「良いけど、悪酔いはしないで」
「え〜、お前との飲みは居心地が良いから酔えるんだよぉ」
「はいはい。三斗君のお店?」
「ううん、もつ煮が美味しい店。少し一美との事を話したいから、弟がいる店は流石にマズイでしょ」
「良いよ。お、四つ葉が見えてきた」
祐一が運転する車がビルの前で停まり、自分から後部座席のドアを開けて降りると、祐一も運転席から降りてきた。
「行ってくる」
「ああ。車を駐車場に停めたら、専務室で待っている」
「オッケー」
俺はスーツのシワを正して、祐一に向かって手をひらひらさせてビルの中に入り、階段を上がっていった。
仁との通話を終えて車の後部座席に深く体を沈ませて、少し息をふぅっと吐く。
「仁君ならやり遂げるよ」
「ああ」
祐一は前を向いたまま話し、俺は車窓の景色をじぃっと見る。
頭の固い親父から言われた“Scoperta”の“休刊”を阻止しようとスポーツ部の全員が頑張ってくれて、取材相手の不祥事で記事の掲載が2回も吹っ飛んだのは想定外だった。
それでも佐藤と仁はもう一度原稿に向き合って書き上げたし、水野が仁に挑戦を出して3日で書き上げた記事も凄く、秋山もカメラの腕を相当上げたもんな。
でも1番なのはー…
「宝条さんが四つ葉に、スポーツ部を選んだのが1番大きいな」
「そうだね。俺が体調不良で暫く来れない前なんて、仁君は今もだけど凄く淡々としていたし、メンバーも活気が少ない感じだったね」
祐一が言うように、ほんとスポーツ部って暗い部分があった。
「こう言うのも悔しいけど、“休刊”の対象にならなかったら、スポーツ部は駄目になっていたかも」
“休刊”の事を伝えたら宝条さんが1番最初に“休刊”の反対を唱え、そこから一気に皆の士気が高まった。
「仁も編集長としての意識が強くなった。もう俺が編集長だったスポーツ部よりも、全然良いもんな」
「寂しい?」
「い〜や、むしろ嬉しいのが強いね」
いつも前髪でどんな表情をしているかなんて分かりづらいけど、“社会科見学”の時や佐藤の原稿で進めようと意固地になったり、涙を流す所なんて初めて見たし、メンバーも最初は嫌な奴ばかりが多くて仁は相当苦労したけれど、田所と佐藤が四つ葉に来てからは徐々に良くなったもんな。
そんな変化を見れたのが嬉しいし、もっと仁がスポーツ部を引っ張って欲しいし、そろそろ俺も役職を昇格させたいな。
「親父が早く引退して引っ込んでくれないと、四つ葉の成長が止まるんだよなぁ」
「簡単には引退しなさそうだけど」
「やっぱそう思う?」
2人で親父の頑固さに笑う。
「俺は稔が社長になるのは賛成だし、ずっと味方だよ」
「やだ、稔、嬉しくて泣いちゃう」
両手で顔を覆って泣き真似すると、前方から溜め息が聞こえたので両手を離す。
「祐一」
「ん?スピードを緩める?」
「いいや。今日の結果の後さ、久しぶりにサシで飲もうよ」
「良いけど、悪酔いはしないで」
「え〜、お前との飲みは居心地が良いから酔えるんだよぉ」
「はいはい。三斗君のお店?」
「ううん、もつ煮が美味しい店。少し一美との事を話したいから、弟がいる店は流石にマズイでしょ」
「良いよ。お、四つ葉が見えてきた」
祐一が運転する車がビルの前で停まり、自分から後部座席のドアを開けて降りると、祐一も運転席から降りてきた。
「行ってくる」
「ああ。車を駐車場に停めたら、専務室で待っている」
「オッケー」
俺はスーツのシワを正して、祐一に向かって手をひらひらさせてビルの中に入り、階段を上がっていった。