まちこのerotica


この味気ない事務所に通うのは、俺の他に、定年間近のジジイと25歳若造の営業マン2人。


出世とは無縁の、鼻くそほじって、スポーツ新聞広げてるような奴らだ。

基本外回りの仕事だから、1日奴らと鼻を突き合わせているようなことはない。


それに、俺はここで一番エライのだ。

すぐに楽しむ術を見つけた。


事務所の奥には、もう1つ小さな部屋があった。そこは物置になっていたのだが、所長の特権を生かし、俺はそこに20インチのテレビ、パイプベッド、ポータブルの冷蔵庫を置いた。

そして、部下達にも残業で終電を逃してしまった時など、ホテル代わりに利用してもいいことにした。


営業マンはすべて客次第。先方に時間を合わせなければならない。


俺の許可を取れば、日中、時間調整に事務所に戻り、ベッドに横になってテレビを眺めることも可能。

但し、サボり癖が付いて、仕事に支障が出てはまずいから、その部屋の鍵は所長が管理する。


所長………つまり、俺(ニンマリ)

俺は、隠し部屋を手に入れたのだ!


異動を告げられた時は、ショックだったけれど。(年甲斐もなく、部長の机に辞表を叩きつけてやろうとマジで思った)


老害を巻き散らかすおエライさんの機嫌を取る必要もなく、マイペースに仕事をこなせば良いこと気が付くと、意外にそう悪くないと思えるようになった。






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