まちこのerotica
(姉はねだって買ってもらったくせに、手に入った後は、ろくに見向きもしなかった)


祖父母達も姉を可愛がった。

「とんびが鷹を生む」

両親にとって姉は自分達の自慢、大事な宝石だった。

ピアノの発表会だからといって母は姉だけにピンクのドレスを買った。私もピアノを習ったけれど、不器用すぎて先生に匙を投げられてしまい、三ヶ月でやめた。
だからドレスを買ってもらう資格がなかった。


でも、いつか、ピンクのひらひらとしたものを身につけてみたい……


そう思いながら大人になった。


もうすぐ23歳になる頃。
ようやく見つけた転職先の会社で、私の歓迎会をやってくれた。人見知りする私はあまり楽しめなくて、緊張するばかりだった。

お酒は好きだから結構飲んだけど。猫かぶってタバコ我慢してて、それが辛かった。


『真千子ちゃん、家どこなの?送ってあげようか?』


直属の上司である高波弘課長は、周りに人がいないからって、馴れ馴れしく私に声を掛けてきた。


今はおじさんだけど、昔は結構、遊んでたんだろうな…って感じの人。

今でも充分、渋くてかっこいい。
童顔だから得するタイプ。
目尻の皺が、優しそう。





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