薔薇の夢をあなたに
今日は野宿だった。
たきぎの灯りを囲んで一座のみんなと夕食をとる。

「明日には、【太陽】と【月】の国境まで進めるだろう。そのあたりで久しぶりに町で公演を行おうと思う。」

みんながぱーっと湧く。
たとえ本業が騎士団だとしても、一度ショーに出てしまえばあの快感はとても忘れられない。

「レイと話し合った結果だ。
情報収集のためにも、俺たちが隠れるためにも、今まで通り旅芸人を装うことがベストだろうということになった。」

私も嬉しかった。いくら石を探す旅の途中とはいえ、せっかく世界を回るのならショーをやりたいと思っていた。

「それで今回から、レイもマジシャンとして加わることになった。」

え?

その言葉にみんなが止まった。

「レイ様もステージに立つのですか?」

「素敵!!絶対素晴らしいものになるわ!!」


レイが真っ赤になって制止しようとする。
「ちょっと待って、僕はまだやるとは!!」



立ち上がるレイを無理やりデイヴィスが押さえつける。
「なーに言ってるんだ。一座を続けようって言ったのはお前だろ、おとなしくやっとけ。」

そしてそのまま無理やり座らせてしまった。

「ちょっとデイヴィス!僕は!!」

「あーうるさい。とにかく明日の公演までになんかできるようになっとけよ、クソガキ!」

レイは一度まんまるに目を開いて、そのまま諦めたようにがっくり肩を落とした。


「レイ様のメイクと衣装は私が担当するの。楽しみにしてなさいよ!」
隣でロゼットが嬉しそうに話す。

「え!私も手伝いたい!!」

「だーめ。出来上がりを楽しみにしててね!」
ロゼットはあでやかにウインクした。
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