月明かりと薄桜 -誠の絆-

その時、沖田さんの表情が変った

さっきまでそっぽ向いていたのに

土方さんの目を見つめ

何かを決心したかのようにこう言った




「これからは僕が彼女を守ります」



確かにそう…彼は言った

静まり返った鬼の部屋で

聞き間違えるはずもなかった


張り詰めた空気の中

彼の言葉だけが響いたのだから



「男に二言はねえぞ」


土方さんが確かめるように沖田さんの目を見つめた



すると彼は"はい"とはっきり返事をした

二人の空気は成立したとしても

私にはさっぱり分からない



頭の上に疑問符が浮かぶばかりだ




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