魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました
私たちは午前のすがすがしい空気の中、村から王城へと続く街道を歩いていた。途中で森と谷を越えなければいけないけれど、今はまだ村を出たばかりで、乾いた固い土の道は平坦で歩きやすい。
「こんにちは」
歩いていると同じような格好をした商人とすれ違い、あいさつされた。
「こんにちは」
こうやって歩いていると、のどかな田舎の道を好きな人と二人で散歩でもしているみたいだ。でも、本当は違う。商人のふりをして王城に潜り込み、内情を偵察するのだ。その任務を思い出すと緊張してくる。
私が何もしゃべらないので気を遣ってくれたのか、勇飛くんが軽い調子で話しかけてきた。
「夕べはよく眠れた?」
「うん。ユウヒくんは?」
「まあまあかな」
「どうして? 今日のことを考えてあまり眠れなかったの?」
「それもあるけど、クマゴンのいびきがうるさくてさ」
「え、ホント? クマゴンっていびき掻くんだ。今の今まで知らなかったな~」
「セリって案外毎日爆睡してたんじゃないの」
「そ、そんなことないよ~。こう見えていろいろ繊細で……」
「自分で言うー!?」
「こんにちは」
歩いていると同じような格好をした商人とすれ違い、あいさつされた。
「こんにちは」
こうやって歩いていると、のどかな田舎の道を好きな人と二人で散歩でもしているみたいだ。でも、本当は違う。商人のふりをして王城に潜り込み、内情を偵察するのだ。その任務を思い出すと緊張してくる。
私が何もしゃべらないので気を遣ってくれたのか、勇飛くんが軽い調子で話しかけてきた。
「夕べはよく眠れた?」
「うん。ユウヒくんは?」
「まあまあかな」
「どうして? 今日のことを考えてあまり眠れなかったの?」
「それもあるけど、クマゴンのいびきがうるさくてさ」
「え、ホント? クマゴンっていびき掻くんだ。今の今まで知らなかったな~」
「セリって案外毎日爆睡してたんじゃないの」
「そ、そんなことないよ~。こう見えていろいろ繊細で……」
「自分で言うー!?」