魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました
 アーマントゥルードさんは自分のベッドに向かった。ゆったりしたチュニックを着ていても凹凸のよくわかる体をベッドに横たえ、勇飛くんに向かって自分の真横のシーツを叩いてみせる。

「一緒に寝る?」

 勇飛くんが何か言うよりも早く私が大声で言う。

「じゃ、私が一緒に寝ますっ」

 アーマントゥルードさんのベッドに飛び込んだら、彼女の長い脚に蹴っ飛ばされて、ベッドから落ちてしまった。

「ひどーいっ」
「いくらあんたが女に見えないからって、あたし、そっちの気はないわよっ!」

 彼女の怒った声を聞きながら、私は腰をさすりさすり立ち上がった。勇飛くんはというともうベッドに潜り込んでいて、掛け布団が規則的に上下している。

 私が子どもっぽいことをやっている間に、寝てしまったのかもしれない。

 我ながら情けない気分になりながら、私はドアに一番近いベッドに潜り込んだ。
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