魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました
「一人で行くつもり?」
「ああ」
「でも……」

 私も一緒に行きたい。

 その思いを目で伝えると、勇飛くんが小さく首を振った。

「牢を壊したら、俺はサンストーン大佐たちと待機している。セリは城の様子を探ってから、またコウモリを牢に送ってほしい。そうして次の作戦を練ろう。二人で国王を救出に行くよりも、味方が多い方が成功する確率が高くなるはずだ」
「わかったわ。でも、無茶をしないでね」
「大丈夫、ちゃんとセリ――使いコウモリ――が戻ってくるのを待っている。それに、戦いにかけてはきっとサンストーン大佐の方がプロだ」

 それでも心配そうな私を見て、勇飛くんがクスッと笑った。

「勇気が出るおまじない、してあげようか」
「勇気が出るおまじない?」

 私が小首を傾げると、彼が私の顎をつまんだ。そして顔を近づけてくる。

 彼の唇が私の唇に触れる寸前、私は人差し指を立てて彼の唇を止めた。勇飛くんが驚いたように目を開け、私は彼の目を見つめて言う。

「それは……この戦いを無事に終えてから、してくれる?」

 無事生き延びると、二人の関係が終わらないという約束がもらえれば、今はそれだけで大きな勇気が出る。
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