魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました
「ほかの男子みたいにバカ騒ぎをしないし、剣道部で汗を流しているときはすごく真剣でカッコイイって思ってた。わ、私がドジなことをしてもバカにしないし、そんなとこに密かに憧れてたんだよ。それなのに、そんなひどいことをあっさり言うなんて……」
彼が眉を寄せて私を見る。
「そりゃ、私はまだゲームを始めたばかりでここがどこかもわかってないし、ストーリーの流れもつかんでないし、魔法も何一つ使えない。誰だって最初は弱いじゃない。それなのに、“使えない”なんてそんなにはっきり言われたら、いくらそれが本当のことでも傷ついちゃうよ」
私の頬を涙が伝った。勇飛くんがギョッとしたように目を見開く。
「いや、そういう意味で言ったんじゃない。本当に魔法が使えないんだなって意味だよ」
ということは、私が使えない女だって意味じゃなかったの?
「ホント?」
「ああ」
「ホントにホント?」
「ホントだって」
彼の言葉にホッとする。よかった、やっぱり勇飛くんはそんなひどいことを言うような人じゃなかったんだ。
そのとき、彼が右手で左肘を押えているのに気づいた。
「傷、痛む?」
「少しな」
「見せて」
勇飛くんが無言で左肘を私の方に向けた。あの山賊の大刀につけられたのだろう、皮膚がスパッと裂けてしまっている。
彼が眉を寄せて私を見る。
「そりゃ、私はまだゲームを始めたばかりでここがどこかもわかってないし、ストーリーの流れもつかんでないし、魔法も何一つ使えない。誰だって最初は弱いじゃない。それなのに、“使えない”なんてそんなにはっきり言われたら、いくらそれが本当のことでも傷ついちゃうよ」
私の頬を涙が伝った。勇飛くんがギョッとしたように目を見開く。
「いや、そういう意味で言ったんじゃない。本当に魔法が使えないんだなって意味だよ」
ということは、私が使えない女だって意味じゃなかったの?
「ホント?」
「ああ」
「ホントにホント?」
「ホントだって」
彼の言葉にホッとする。よかった、やっぱり勇飛くんはそんなひどいことを言うような人じゃなかったんだ。
そのとき、彼が右手で左肘を押えているのに気づいた。
「傷、痛む?」
「少しな」
「見せて」
勇飛くんが無言で左肘を私の方に向けた。あの山賊の大刀につけられたのだろう、皮膚がスパッと裂けてしまっている。