魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました
 マスター・クマゴンが朝食の準備をしている粗末なテーブルの上には、果物やパン、ソーセージが山と積まれていた。その量は十人分くらいはありそうだ。

「お客さんがあるんですか?」

 私の問いかけに、マスター・クマゴンが小首を傾げる。だから、先生の巨体でその仕草は似合わないってば!

「何言ってんの、あんたが食べるんでしょうが」
「へ?」

 私、そんなに大食いだったっけ?

「魔法使いは魔法を使うと生命エネルギーを消耗しちゃうのよ。食べて休まないとまた次の魔法が使えないじゃない」
「あー、そうなんだ」
「ほんと、しっかりしてよね」

 マスター・クマゴンに呆れたように言われたけれど、初めて聞いたんだから仕方ないじゃない。

 私が椅子に座ると、マスター・クマゴンが白い陶器のピッチャーからマグカップにミルクを入れてくれた。

「しっかり食べて早く元気になりなさい。ユウヒ様とまた王城に向かわなくちゃいけないでしょ」
「あー……」

 そういえば昨日、そんなことを言ってたわね。でも、勇飛くんはどこに住んでいるのかな。それを訊いたら、またため息をつかれた。

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