魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました
 私は思わず笑みをこぼしていた。

 なんだかこの環境にも少しずつ慣れてきた気がする。

「ね、座りたいんだけど、階段に座って平気?」

 私が図書館を見回すと、また声が聞こえてきた。

「ああ」
「それじゃ、お言葉に甘えて」

 私は階段の一番下の段にちょこんと腰を下ろした。

「あのね、私はセリって名前で、一応魔法使いってことになってるの」
「一応?」

 いぶかしげな声が降ってきた。

「うん、私、どうやら魔法を忘れちゃったみたいなんだ。そんな私にぴったりの、初心者向けの魔法の本ってある?」
「なんじゃ、魔法を忘れるとはとんでもない間抜けよのう」

 ホッとしたような笑い声が響いて、私はわざとムッとした表情を作った。

「そんなこと言うなら、またドアを叩きまくるわよ」
「おお、それだけは勘弁しとくれ。ほんにおまえは乱暴者じゃな」
「嘘よ、冗談」

 私が笑うと、洞穴(ほらあな)を風が抜けるような大きく太い音が聞こえてきた。きっとため息をついたのだろう。

「で、どの本で勉強したらいい?」

 私の問いかけに、考え込んでいるような声で返事がある。
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