魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました
「ほら、見てご覧なさい。裏口の木のドアの辺りが一番激しく燃えてるわ。燃焼を促す何かの薬品をかけたようよ」

 マスター・クマゴンの指さすところを見ると、裏木戸の下の部分がそこだけ炭化して真っ黒になっている。

「あたしが留守だったってことは、村の者なら誰だって知ってるわ」

 マスター・クマゴンにチラリと視線を向けられ、また恐怖が蘇ってきた。

 やっぱり狙われたのは私……?

「ま、憶測でものを言っても仕方ないわね。今晩泊まるところがないわ。ソードマン・ハウスに泊めてくれないかしら」

 マスター・クマゴンに流し目を送られて、勇飛くんが頬を引きつらせた。

「ソードマン・ハウス?」

 そういえば以前マスター・クマゴンが言ってたけど、どんなところなんだろう。

 勇飛くんの方を見ると、彼は私を見て説明してくれた。

「ソードマン・ハウスは俺たち剣士が暮らす共同住宅みたいなものだよ。以前は修行中の者も含めて、剣士たちでいっぱいだったみたいだ。でも、今生きている剣士は俺と例のアーマントゥルードって人だけらしい」
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