魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました
 小鳥の声で目が覚めて、私はベッドの上で伸びをした。ソードマン・ハウスのベッドはさすがに快適で、マスター・クマゴンの屋根裏部屋にいたときの何倍も、いえ、何十倍もよく眠れた。

 昨日マスター・クマゴンの作ってくれた山鳥のシチューをたくさん食べたのに、もうお腹が空いてきた。

 朝ご飯まだかなー。さすがに手伝った方がいいよね。

 そんなことを思いながら、水差しの水を使って陶器の洗面台で顔を洗っていると、キッチンの方から鼻歌が聞こえてきた。それと同時に香ばしいベーコンの香りが漂ってくる。

「ああ、もう我慢できない。お腹空いた」

 魔法使いは食べないとやってられないのです。

 廊下に出たとき、ちょうど勇飛くんも部屋から出てきたところだった。

「おはよう」

 わあ、朝から爽やかな笑顔。

「おはよう、ユウヒくん」
「いい匂いだな。セリは毎食クマゴンの手料理を食べてたんだよね?」
「うん。手作りのハムとかソーセージとか、すごくおいしいんだよ。でも作ってくれてるのは村人たちだけど」
「そうなんだ」
< 90 / 234 >

この作品をシェア

pagetop