魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました
初耳だ、とでも言いたげな勇飛くんに、私は最初の朝、マスター・クマゴンが教えてくれた話をする。
「ああ見えてマスター・クマゴンは村人たちに慕われているの。薬草で薬を作ってあげたりするし、いわゆるおばあちゃんの知恵袋みたいな知識も豊富だし」
「おばあちゃんの知恵袋ってクマゴンが自分で言ってたの?」
私は首を振る。
「ううん、えっとね、なんだったかな……」
ダイニングが近くなったとき、マスター・クマゴンの声が聞こえてきた。
「先人たちの良き知恵、よ。誰がおばあちゃんなのよっ」
「あーはは、ごめんなさーい」
うっすらと微笑む私を見て、マスター・クマゴンはむくれた表情で、私たちにテーブルに座るよう合図をした。私たちは三人で食卓を囲み、「いただきます」と食べ始める。
「実は今日、王城に向けて出発しようと思ってるんだ」
今日の天気の話でもするように勇飛くんがさらりと言った言葉を聞いて、私は持っていたライ麦パンを落としそうになった。
「え、きょ、今日?」
寝耳に水ってこういうことを言うんじゃないかな。
驚く私とは対照的に、勇飛くんは冷静な口調で言う。
「ああ見えてマスター・クマゴンは村人たちに慕われているの。薬草で薬を作ってあげたりするし、いわゆるおばあちゃんの知恵袋みたいな知識も豊富だし」
「おばあちゃんの知恵袋ってクマゴンが自分で言ってたの?」
私は首を振る。
「ううん、えっとね、なんだったかな……」
ダイニングが近くなったとき、マスター・クマゴンの声が聞こえてきた。
「先人たちの良き知恵、よ。誰がおばあちゃんなのよっ」
「あーはは、ごめんなさーい」
うっすらと微笑む私を見て、マスター・クマゴンはむくれた表情で、私たちにテーブルに座るよう合図をした。私たちは三人で食卓を囲み、「いただきます」と食べ始める。
「実は今日、王城に向けて出発しようと思ってるんだ」
今日の天気の話でもするように勇飛くんがさらりと言った言葉を聞いて、私は持っていたライ麦パンを落としそうになった。
「え、きょ、今日?」
寝耳に水ってこういうことを言うんじゃないかな。
驚く私とは対照的に、勇飛くんは冷静な口調で言う。