世界で1番愛する君へ~君に届けるラブソング~



あれは中2の頃

2学期が始まって1ヶ月といったところか

体育祭が終わってすぐのこと音楽祭の練習に明け暮れる日々を送っていた頃かな

朝の日差しが眩しくてそれにまだ残っていた夏の暑さで憂鬱だった登校の後

ファイルに入っていたプリントを見て思い出す

このプリント確か今日が提出日…だったような気がする

まぁいいやとりあえずアヤメに聞こう

そう思ったけど視界に入ってきたのはカナウ君

カナウ君はもう読書に勤しんでいる

迷惑…かもだけどそれでも君とたくさん話したくて私はカナウ君を選んだ

アヤメを頼ってない訳じゃないよ

でも、話すことで距離を縮められるだろうし少しずつ…少しずつだけどいつか君が私に笑ってくれるまで頑張るよ

そして私はカナウ君のそばまで来て訪ねるのだ


『ねぇ、カナウ君このプリント今日提出であってるよね?』


期待はしてなかった

どうせまた無視かもしくは良くても頷くだけそう思ってたからこそ驚いた

予想すらできないほどの出来事


『うん…』

『えっ』


声が漏れた私をカナウ君は1回見たけどすぐに私から目をそらした

嘘…

今の聞き取れなかった訳じゃないけど、だけど声は細くて小さかったけどへ…んじ?だよね

なんで急に

だっていつもは…いつもはあんなにむすっとした顔で無視ばっかりで全然相手にしてくれなったくせに…


うわぁ、どうしてだろう

こんな返事が返ってくるなんて当たり前のことに泣きそうになるぐらいに嬉しいなんて

顔が緩む


『ありがとう!』


私はとびっきりの笑顔でそう言ったと思う

カナウ君は横目で私を見てから少し照れて唇を噛み締めながら頷いた

そんな表情も行動もすべてが愛しい

やっぱり君を選んだ私の選択は間違っていなかった

こんなに大好きになれるなんて…そしてこれからももっと大好きが増えていくんだよ


ねぇ、カナウ君

これからはもっと、もっともっと今よりたくさん話しかけるから相手にしてね

必ず私が……


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