世界で1番愛する君へ~君に届けるラブソング~
私はこのときあと残り1ヶ月もない私立推薦の入試に向けて勉強に育む毎日を送っていた
私立推薦を受ける枠を手にいれたのはよかったが…正直焦る
受からなかったら…なんて考えるだけ時間の無駄だし不安になるだけ…分かってる
でも日が過ぎれば過ぎるほどそんな思いしか募らない
相変わらず心が弱い自分が嫌になる
プレッシャーなんて何回もピアノのコンテストで感じてきたはずなのに…なぁ
ため息をすると幸せが逃げるらしいが本当だろうか
もし本当ならば私はこの先本気で幸せのない人生が待っているかもしれない
そのくらい毎日ため息ばかりついているのだ、恐ろしい
勉強道具をとにかく広げてみた
やる気は自然と起きるのを待った
嫌々やったところで頭に入らないから自らやる気になったら始めた方がいいとどこかのテレビ番組で見た気がするけど気のせいかもしれない
曖昧だが今はどうでもいい
とにかくやる気を起こさなくては
それなのに頭のなかに音楽が流れてくる
鼻歌を歌う
自分で作った曲だが……
ピアノ…弾きたいな
歌…歌いたいな
フワフワとそんな考えが浮かんだ
1曲弾いたら真面目に勉強するから、と自分に言い聞かせ私は自分の部屋に置かれた電子ピアノに手をかけた
きれいな音が鳴り響く
一つ一つの音には、
一つ一つのフレーズには、
一つ一つの歌詞にはすべてカナウ君への気持ちを……
君と出会えた奇跡が私を強くも弱くもするの
ずっとずっと好きだったの
私の歌が鳴り響く
「君との恋に戸惑っちゃってさ
このままでいいのかとか
絡まっちゃって
大事な思い」
戸惑いながら私は生きる
時には空回ってしまった、そんなときもあった
それでもこの思いに嘘がつけなくて
それでも私は進み出せなくてどうすることが一番いいのか今だってわからない
「進み出せなくなって
このままでいい気がして
しゃがみこんで
立ち上がれないんだよ」
気持ちを伝えて苦しい思いをするぐらいならもういっそこのままでいい
何回も泣いた夜の記憶
星に願った冬の記憶
それでも好きだと叫んだ夕暮れの記憶
君と出会った春の記憶
そのすべての思い出に私はひたり続けたい
カナウ君がくれたものは全部宝物だよ
君の匂いも声もそのすべてが愛しくてしょうがないんだ
ねぇ、聞いてよ、私の歌を……
カナウ君への歌を
重すぎる気持ちは軽くなんてならなくて別れが近づくことへの恐怖感がただただ湧いただけだった