にせパパ、はじめました。

友人に、秘密。

ダダダダダ



「はぁ……はぁ…………」


廊下を走る。

教室まであと少しだが、もう時間がない。


予鈴はすでに鳴ってしまったのだ。



ダダダダダ

ガラッ


「はぁ…………ま、間に合った……」


教室に到着。

途端にドッと疲労感が襲う。


「……!なっちゃん…………」

「おう。おはよ」

昨日のあれを気にしてるのか、友人の翔(カケル)がおろおろとしながら話しかけてきた。


「…そ、その………………昨日は悪かったな…………。なっちゃんのせいじゃねぇのに、あんな事言って……」

俺は返事をせずに鞄をロッカーへと入れる。

弁当箱は机の横にかけた。

「ごめんって……!まじ許してよなっちゃん!」

翔は懲りずにまた謝ってくる。

無論、返事はしない。


「あーーもう分かったっ!!帰りに唐揚げ一つでどうだ!」

……少しだけ頷きそうになったが、我慢。


すると翔は、少しだけ頬を膨らませながら



「…………二つ」

「ゴマ団子も」

「くっ…………わ、分かったよ……」


呆れたような表情をした。

まあ、たまにはこういう我が儘も言っていいだろう。

服のボタンをいじりながら、「俺も、悪かった」と呟いた。


翔は一瞬理解出来なかったようだが、すぐにニコッと笑い

「おうっ!」


と、元気よく声を発した。









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