【完結】遺族の強い希望により
玲奈の母親が、中央に置かれた缶に静かに手を伸ばした。
どうやら、話が始まる。
その場の全員が無意識に背筋を伸ばした。


「はじめからこれは玲奈に見せなきゃと思っていたんだけど……どう切り出して良いのか分からなくて。私も中々心の整理が付かなかったし」

言いながら、彼女は缶の蓋を外す。

「いつか……そう思いながら、あんなところに隠したままにして。そのせいで玲奈を余計悩ませて、苦しめてしまったわね」

缶の中身をひとつひとつ確認しながら並べていく。
どうやら古い順に直していっているようだった。


「みのりさん。見つけてくれてありがとうね」

突然呼ばれ、にこりと微笑みかけられると、みのりは慌てて顔の前で両手を振った。
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