【完結】遺族の強い希望により
男はそれさえ叶えば、2人一緒の未来があるものと思い込んでいた。

女性を妊娠させたら責任を取って結婚する、といういわば文化的に根付いた考えを逆手に取った、悪い言い方をすれば外堀から埋めようという目論見だ。

だが彼女の国には、妊娠したから結婚、という風習はなかった。


加えて彼女の方が、現実的な難しさを肌で感じていた。
実際に海を渡って家族や自国の友人たちと離れ離れで数ヶ月を異国で過ごした彼女には、その物理的距離が与える影響の大きさが痛いほどに分かっている。


まだ若い自分たち、大人の力を借りなければ何も出来ない自分たちが、どれだけの気持ちと覚悟を持ったところで、今時点でその距離に打ち勝つことなど到底出来ないのだ。
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