【完結】遺族の強い希望により
今ではなくずっと遠い未来に、互いがもっと精神的にも強く、立場的、金銭的にも独立して、自分の都合と意思だけで自由に国を行き来出来るような時が来るのならその時にはいつか――。

そう、願わなかったわけではない。
だがその『いつか』が訪れるまでを、離れ離れのまま耐え抜けるものだろうか。
自分はどうだろう。
相手はどうだろう。

これから先も彼には新しい出会いがいくらでもあるだろう。
そばにいることも出来ない自分が、彼に訪れるであろう別の未来の芽を摘み取って、いつ来るかも分からない『いつか』を待ちながら拘束し続ける権利などあるのか。
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