【完結】遺族の強い希望により
楽になりたいと、願ったわけではない。
あの喪失を過去に変えるつもりなどみのりにはなかった。
ずっと覚えていなくてはならない。
一生背負っていかなくては。

――でもそこに、亮を巻き込むわけにはいかない……。


『落ち着きなさい』
『しっかりしなさい』

『母親が取り乱したらお腹の子も不安になるんだからね』


母の言葉が、纏わりついて離れない。

1人で何とか出来ると思っていた頃の自分はなんと浅はかで、どれだけ思いあがっていたのだろう。
隠し通せるわけがなかった。
もっと早くに相談するべきだった。

後ろめたいことがあるから堂々と胸を張ることも出来ず、こそこそとただ時が来るのを待っていた自分は卑劣な臆病者だ。
母親に妊娠を気付かれただけで動揺して、そしてそのせいで。
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