【完結】遺族の強い希望により
みのりの言葉に、亮はぎょっとしたように目を剥いた。
『死』というワードを、無意識に避けたかったのかもしれない。

みのりにとっても、無神経だと自覚するその言い方はある種賭けだった。
まだ傷口は新しい。
また奈落へ突き落としかねなかった。

けれど彼女は、自分が知る『高嶋玲奈』を信じている。
乗り越えなくてはいけない。
そして玲奈は、必ず乗り越えられる。


しばらく黙り込んだ玲奈は、小さく「そっか」と呟いた。


「でも癪だから、二番目に好きなヤツにするわ」


その言葉に内心ホッとしながらにやりと口角を上げたみのりは、紙袋の中から迷わずクッキークランチを取り出した。
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