【完結】遺族の強い希望により
「子どもの名前を墓に入れちゃった以上、廣岡家としてはもう、その母親であるみのりに絶対嫁に来てもらわないと困るわけ」

言いながらにやりと笑って、亮は同意を求めるようにみのりに視線を流す。
いきなり嫁などと生々しい言葉を振られ、みのりは慌てて目を逸らした。


「ちょっと、実は初めからそれ狙ってたんじゃないの? 策士! 気を付けてみのり、騙されてるよ!」

「馬鹿、んなわけあるかっ」

暗く、重くはなりすぎないように、こうして空気を変える。
不謹慎とも言われかねない笑いは、互いに信頼があって初めて成立した。


「まーだからうちの親としては、遠距離でダメになられるワケにはいかないって本音もあるみたい」

と、亮が話を戻した。
みのりの親たちも、似たようなことを匂わせていた。

それと、もうひとつ。


「うちは……このまま実家に置いといたら、外に出るきっかけをまた失うんじゃないかとも思われてる、みたい」

「――ん。向こう行ったら、脱ひきこもり。頑張ろうな」

ぽん、と頭に手を置かれ、みのりは大きく頷いて見せた。
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