【完結】bitter step!
「なお、早く開けろよ」

急かす純平と、右隣から痛いくらい飛んでくる期待のこもった視線に促され、紙袋からクッキーボックスを取り出す。

ブラウンのリボンを十字にかけたその箱を見ただけで、美紗がうっとりと「素敵」と呟いた。


「なおのことだから、タッパーにでも入れてくるんじゃないかとドキドキしてたわ」

……図星、なんですが。

ドキリと心臓が鳴って顔を背けたボクの反応を見て、

「おい、コイツ絶対そのつもりだったぞ」

と純平が口の右の端を上げる。

その2人の会話をたしなめるように

「大事なのは中身だよ」

ゆっくりと紡がれた先輩のその言葉に、不覚にもボクの体温は一気に上昇した。
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