【完結】bitter step!
――純平がボクを責めて、なじって、攻撃して、傷つけて、それが彼の慰めになるんなら、全部受け止めようと思ったのに。

なんだか、全然違うことになった。

え?
キス?


『女なのに』

最後の純平の言葉を反芻する。


ずっと男友達のような立ち位置にいたボクを、多分女としては見れなかった純平。
だけどボクが、もっとちゃんと女らしくさえあれば、美紗の心が乱れることもなかったから。


――純平は、友達としてしか見れないボクを、【女】にしたかったんだ。

そっか。
だから。


……鳴りつづけていた携帯の振動が止まった。


後ずさって距離をとっていた純平が、怯えた目でボクを見た。
途端にハッとしたように、眉をしかめ、再び手を伸ばしてくる。


ボクの――、唇に向けて。
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