あなたに願いを青春を…
そんな聖也にモテ期がやって来たのもこの頃からだった。

咲樹:「ねぇ。瑠夏。瑠夏は聖也と仲がいい
けど、聖也のこと好きなの?」

瑠夏:「え!?好きじゃないよ。ただの幼なじ
みだから仲がいいだけ」

咲樹:「本当に?じゃあ相談にのってくれる
?」

瑠夏:「うん。いいよ」

咲樹:「じゃあ。聖也に今好きな人がいない
か、聞いてもらいたいんだけど」

瑠夏:「うん。分かった」

私はすぐに確認しに行った。
聖也と恋愛話をするなんてはじめてだった。

瑠夏:「ねぇ。聖也って今好きな子とかいる
の?」

聖也:「え?好きな人?いないけど…」
「何で?」

瑠夏:「ううん。ただ、ちょっと気になって
聞いてみただけ」

聖也:「ふぅ~ん」

すかさず、咲樹に報告。

瑠夏:「聖也。今、好きな人いないって」

咲樹:「本当!?やったぁ!実は今度のバレン
タインにチョコをあげたいんだけど
協力してくれる?」

瑠夏:「いいよ。で、何をしたらいいの?」

咲樹:「まず。チョコレートが好きか聞いて
欲しいの」

瑠夏:「うん。分かった」

咲樹:「それでね…。聖也にチョコを渡して
欲しいの」

瑠夏:「え!?私が?私が渡すの?咲樹それで
いいの?」

咲樹:「恥ずかしくて、無理だよ。食べても
らえればそれでいい」

瑠夏:「分かった。渡してあげる」

こうして、聖也にチョコレートを渡すことになった。

瑠夏:「聖也ってさぁ。チョコレート好き?」

聖也:「ん~。あんまり甘いもの好きじゃな
い。」

瑠夏:(賭けで、さんざんハーゲンダッツを賭
けてたのに変なの)


聖也:「ねぇ。何かこないだから変だけどな
んなの?何かあるの?」

瑠夏:「別に何にもないよ」

聖也:「嘘だね。本当は何なの?」

瑠夏:「本当に何でもないって!」

そう言って私は逃げた。
バレたら絶対に恥ずかしがって受け取らない。
咲樹に報告し、ブラウニーチョコを作って渡すことになった。


バレンタイン当日の放課後。
帰ろうとしている聖也に声をかけた。

瑠夏:「聖也ちょっと待って!」

聖也:「えっ?何?」

瑠夏「はい。これ。」

聖也:「何これ?」

瑠夏:「何ってバレンタインチョコだよ。咲
樹に頼まれたの。だから受け取って


聖也:「いらない」

瑠夏:「いらないって…咲樹が頑張って作っ
たんだよ?」

聖也:「甘いもの嫌いって言っただろ。それ
に何でお前が渡してるんだよ!?おか
しいだろ」

瑠夏:「それは…とにかく受け取って!」

聖也:「いらない」

瑠夏:「待って‼」

そう言って、私は無理やり聖也のランドセルに袋をくくりつけた。

瑠夏:「一生懸命作った気持ちだけは受け取
ってあげて」

私は逃げるようにその場を逃げ去った。



次の日聖也に謝りに行った。

瑠夏:「昨日はごめん。無理やりで…」

聖也:「本当だよ。」

瑠夏:「で、ちゃんと食べた?」

聖也:「うん。ちょっとね」

瑠夏:「そっか。ありがとう」



咲樹:「どうだった?」

瑠夏:「うん。渡したよ。まぁ渡したってい
うよりは無理やりランドセルに結び
着けた(笑)でも、食べたって言ってた
よ」

咲樹:「そっか。よかった。ありがとう」

瑠夏:「あんま力になれなくてごめん」


その後咲樹は片思いでいることを決意し、それ以外咲樹から何かをお願いされることはなくなった。
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