睡恋─彩國演武─

堕ちていく。

この身体は異形へと。

痛み、苦しみ、全ての『負』の力が、押し寄せる。

異形の見る景色は、身体を通して脳に映る。

千霧の、苦しそうな顔。

あれが最後に見えた残像。


「──千霧を傷つけたくないんだ」


あの子は優しい子だから。
他より、少し脆いんだ。


「……わかりました。でも、千霧様がお止めになったら、私は貴方を殺めることは出来ません」


「わかってるよ。貴方の主は、千霧だものね……」


千霧はきっと止めようとするだろう。

でも、回りだした歯車は、簡単には止まらない。


この運命は誰にも止められない。


でも、できるなら、君にその手で終止符を──…



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