深紅の花に姫君《改装版》
「俺は別に性別とか、種族とか、身分なんて関係ねぇと思うぞ?誰を好きになったっていいじゃねえか!」
す、すげぇな。
ジェイドさんの許容範囲、一体どこまで広いんだよ。
それにしても、一目惚れか…………
確かに、その言葉が一番しっくりと合った。
俺、アイツに一目惚れしたのか?
でも、ジェイドさんにそう言ってもらえて安心してる。
「嘘だろ、俺。冒険はしないたちなのに………」
「まぁ、まだ好きって決まったわけでもねぇし、そんな深刻になりなさんな。なるようにしか、ならねぇって」
ジェイドさんは俺の背中を叩く。
そうだよな、まだ好きって決まったわけじゃない。
考えるのも疲れたな。
「ジェイドさん、鍛練付き合ってくださいよ」
「おう!望むところだ!」
剣と剣がぶつかり合う音が、目の前の相手だけに集中できて俺の心を落ち着かせる。
その夜、俺はもやもやする気持ちを忘れるようにと無心でジェイドさんと剣を交わしたのだった。