Contraire×Contraire
-3- 王子様とお姫様


「じゃ、ここの案内するね」

そう言って、紫苑さんは部屋を案内してくれた。

いろいろ起きすぎてあんまり覚えてないけれど…。
無難な言葉で言えば、生徒会室。
違うところ、といえば生徒会役員は当日でも申請すればこの部屋に泊まることも可能だということ。
…そんなこと言うくらいだから、仕事って多いのかな。


ぱん!と手を叩く音がする。
音の主は紫苑さんだ。

「じゃ、教室いこっか!」


にっこり笑って、鞄を持つ紫苑さん。
彼女も教室に向かうようだ。

重たい扉を閉めると、紫苑さんの手が仰々しい鍵をかける。
しっかりしてるんだなぁ、と思いながら見つめていると、紫苑さんと目が合う。


「鍵は後で渡すね。
今は先生が持っていて、手元にないの」

「あ、いえっ、そういうことではなくて…」

「紫苑さん、申し訳ありません。
侑貴はすぐ見つめる癖があるんですよ」

と、翠が目を細めて笑う。

「そうなんだー。
…そういうとこが、気に入ったのかな?」

「え?」
気に入った…?

「…こっちの話!さ、いこっか!」

そんなかわいい顔で笑われたら、これ以上は聞けないな…。


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