叶えたい花。

ロールキャベツ系憧れの先輩

 先生からも生徒からも信頼の厚い、甲斐(かい)先輩だった。

「みーっけた。元気かぁ?」

 甲斐先輩はいつもそう言いながら私の肩に腕を回してくる。そのたびに私に突き刺さる女子の目線がとても痛い。

「おはようございます、先輩」

 笑顔を作って、人が良さそうに返答する私に、甲斐先輩はこう言ってくる。

「お前ってさ、なんでいつも笑ってんの?」

 そんな甲斐先輩に、私はいつも笑って誤魔化すことで精一杯だった。でも、甲斐先輩は遠慮もせずにこう言ってくる。

「なんでそんな人良さげなの?てゆーか髪きれいだよね、何のシャンプー?」

 そんな甲斐先輩の質問に、私はまたも笑って誤魔化すのだった。でも、そんなことをしても、甲斐先輩はやっぱりしつこく話しかけてくるのだった。
 そんな甲斐先輩の存在は、自分でも疑問を持つくらいとても迷惑でとても憧れの先輩だった。

「おーい、聞いてるかぁ?ちびっ子~」

 こうして平均的な私をちょこちょこバカにしてくる高身長の甲斐先輩に、私は

「ちびじゃないです!」

 とそこだけは反撃する。だって本当に甲斐先輩が高いだけなのだから、平均的な私の身長を低いと言われても正直困る。
 そんな甲斐先輩との言い合いが、今までの10分休みだった。
 そして、授業始まりのチャイムがなる。今日は親御さんにも嬉しい入学式。でも、行事の時は…
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