空のギター
 ──まさか自分達の身近で雪那が正体を晒していたとは。メンバー四人は仰天して「えーっ!?」と声を上げ、記憶の中のプロモの少女と雪那を必死に照らし合わせてみる。硝子はこれも見抜いていたのか、「あら、やっぱりそうだったのね」と呟く。雪那は「あ、バレてましたか」と言い、悪戯が失敗した子供のように笑った。



「あるスタッフが自供したわ。どうせ正体がバレそうになって、“従姉妹だ”って言い訳したら採用されたんでしょう?上手くごまかせたもんよね。
……ま、このまま“謎の美少女”で置いとくのが正解ね!」



 その会話を聞いた頼星は、謎が解けてホッとした表情を見せる。何処かで見たことがあると思ったのは、やはり間違いではなかったのだ。頼星の思いを知っているのかは分からないが、雪那はメンバーと硝子を見回してから口を開いた。



「あのプロモでは髪長かったでしょ?実は撮影終わってから切ったんだ。」



 そう言った雪那の表情を見て、硝子は悟った。彼女が髪を切ったのは単なる気分転換などではない、と。雪那の心胆に、きっとみんな気付いたのだろう。パラパラと頷く彼らの中から、代表して硝子が尋ねる。
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