空のギター
 明日は音楽誌の取材が入っているので、高校生三人組と別れた雪那と頼星は、実家ではなくS.S.G所有のマンションへ戻る。鞄に加え、ナイロン袋二つを提げての道のりを、彼らは他愛のない話をしながら歩いていた。



「そういえばこの前、風巳に『雪那と頼星っていつからの付き合いなの?妙に仲良くね?』とか言われたんだけど。頬杖ついたままニヤニヤしながら言うから『気持ち悪い』って言ってやったら、ショック受けてた!」

「お前酷すぎだろ。風巳かわいそー……つーか俺ら、出会ってもう八年なんだよな。腐れ縁だと思わねぇ?」

「うわ、そっちの方が酷いよ!みんなに頼星が俺をいじめたって言ってやろーっと!」



 ふざけた調子で会話する二人だが、お互いが相手に心を許していると分かる。自然な笑みをこぼす様は、かっこつけた顔で雑誌の表紙を飾っている彼らが好きなファンをも変えてしまいそうだ。

 二人の目が、ごく自然に互いの両手を塞いでいるナイロン袋へ向かう。相手が同じ動作をしたと気付き、二つの視線がゆっくりとかち合った。



「……ねぇ、後で頼星の部屋行っても良い?」

「……俺もそう言おうと思ってたところ。」
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