空のギター
「言っとくけど、ガラクタなんかじゃないわよ!あんた達のファンから頂いた、大切な大切なファンレターなんですからね!!感謝するのよ!!」



 それぞれの箱には、誰宛ての手紙がまとめられているのか分かるように、マジックで名前が書かれてある。「渡すのすっかり忘れてたわ!ごめんね」と苦笑する硝子。おのおのに三箱ずつの段ボールが行き渡ったことから、どうやらデビューから数えて約半年分のファンレターらしい。

 持って帰るのは大変だろうから、と呟いた硝子が、五人にナイロンの手提げ袋を二枚ずつ渡していく。その配慮に、雪那達はとても感激した。



「大きいから、多分全部収まるでしょう。時間がかかってもちゃんと読むのよ?まぁ、あんた達に限って未開封のまま捨てるなんてことはない筈だけどね。きっと泣けてくるから、誰かと一緒には読まない方が良いわよ!」



 意味深長な台詞とニヤニヤした笑みを残し、彼らのマネージャーは「じゃ、明日の仕事でねー!」と爽やかに去って行く。五人は暫く固まっていたが、やがて嬉しそうな表情で、段ボールから袋へと手紙を移動させ始めた。果たして、どんな意見が五人を待ち受けているのだろうか。
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