空のギター
「はいはい、お喋りはそこまで!来週の“Sounds Good!”について話し合いましょう!!」



 明るく元気な声が響き、硝子が楽屋に入ってきた。ノックなしに現れることが多いので、五人は心底驚かされる。きっと彼女は、面白がってわざとそうしているのだろうが。

 硝子が言う“Sounds Good!”は、20年以上続くご長寿音楽番組だ。訳すと“いいね!”になることから“良い音楽を視聴者に”と言う意味が込められているらしく、数少ない生放送番組だということも人気の理由の一つのようだ。



「今週はデビュー間もない新人ばかりを集めるみたいだから、あんた達のライバルが大勢居るってことになるわね。」



 目に力を込めて言う硝子を見て、紘が両手を握り締めた。



「生放送なんだよねぇ?緊張するよぉ……」

「……そうね。でも、あの番組に出られるってことは名誉なことよ?プレッシャーを感じるかもしれないけど、選ばれたってことは凄く誇り高いことなの!」



 硝子は優しく笑う。紘と、彼同様に緊張していたらしい四人も小さく頷いた。やがて、硝子からの番組説明が始まった。
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