空のギター
「……ありがとう!そんなこと言われたの初めてだから、凄く嬉しいよ!!」



 Setsunaが輝くような笑顔で言うと、織春もつられて笑う。“ファンとその憧れのアーティスト”という図が綺麗に出来上がっている。



「じゃあ私、芸能人でのSetsunaさんのファン1号ですね!!」

「え、なってくれるの?」

「はい!えっと、Quintetの皆さんのファンになりました!!みんな素敵です!!」

「織春ちゃんもさっきのメドレーの……特に『my mind』が凄く良かったよ!デビュー曲だよね?あと、ウチのHiroが熱烈ラブコールしてたから伝えとく!」



 クスクス笑うSetsunaに織春は、「じゃあHiroさんに私のCDプレゼントしなきゃ!」と返す。是非そうしてやって欲しいと言うSetsunaに彼女は、「良かったら皆さんのCDも下さいね!」と頼んだ。

 Setsunaと織春はすぐに意気投合し、次の仕事で一緒になった時に約束のCDを交換した。また、織春とQuintetのメンバー達は携帯の連絡先を教え合い、親密さが増すこととなった。

 ──五人が漸く芸能界に慣れてきたと感じた頃。季節はもう、夏になろうとしていた。
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