Blue Bird
「麗美さん。あの日どうして俺を呼んだんだ」

それには答えず俺も別の話題を出した。

あの日。それは事件当日のことだ。事件発生の数時間前、このシルバーレインに話があると彼女に呼び出されていた。本題に入る前にナイフの怪しい男が入ってきて話は中断されてしまった。

俺の言葉に驚いたような顔をした彼女。なぜか酷く動揺していた。こんな顔の彼女をみるのは初めてだった。いつも冷静沈着な完璧な女、それが高岡麗美だ。

なのに目の前にいる女はまるでただの一人の女のようにみえる。



「どうしてかしらね」


しばらくしてただ一言そう言い残すと麗美さんはバーから消えていった。
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