腹黒王子の取扱説明書
「……卑怯じゃないですか?」

「この話を断れば、君は首だよ。良いの?弟だって無事に大学卒業させたいだろう?」

……どこまでうちの事情知ってるの?

不敵の笑みを浮かべる俊を私は睨み付けた。

「この腹黒王子!人を脅すなんて最低ね」

私が俊を罵ると俊は悪魔のような微笑を浮かべて言った。

「俺に面と向かってそんな事言うのは君くらいだよ。だが、俺には逆らわないことだ。君もバカじゃないんだからわかるよね」

私は腹黒王子にまんまと捕らわれてしまったらしい。

今の私に拒否権などない。

私は血が出そうなほど唇を噛み締めると、憎々しげに俊を見据えた。
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