腹黒王子の取扱説明書
「あの……この事は内緒に……出来ませんか?」

私のせいで千田部長が飛ばされるのはいい気がしない。

「出来るわけがない。麗奈の名前は出さないよ。明日付けで君は俺の秘書だしね」

俊が私を見据えてニヤリと笑う。

今、なんて言った?

俺の秘書?

冗談でしょう?

「嘘?私は秘書課の希望なんて出してませんよ!須崎さんだっているじゃないですか?」

「須崎にはもっと外に出てもらいたいし、麗奈がサポートしてくれるといろいろと都合がいいんだよね。麗奈は俺に媚びないし貴重なんだよ。他の女はいろいろ勘違いしそうだしね」

俊が黒い笑みを浮かべる。

「私の意思を無視して勝手に決めないで下さい!」

ああ、なんだかまた頭痛がしてきた。

私はまだ悪夢でも見ているのだろうか?

「俺の秘書になるなら、あのバイトの事は黙っててあげるよ」

俊が私を見据えて口角を上げる。
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