腹黒王子の取扱説明書
「でも、麗奈、兄と話してる時、顔が赤かったわよ」
杏子が楽しそうに私をからかう。
「変な気を回さないでよ。あんな格好いい顔が近くにあったら、誰だって赤面するよ。今日は夜のバイトもあるから平穏無事に過ごしたいの。必要以上に疲れたくない」
私が脱力して杏子に寄りかかると、彼女は片眉を上げた。
「まだあのバイト辞めてないの? 会社にバレたら不味いわよ。気をつけなさい」
私に注意するその口調はなんだか姉みたい。
「でも……うちの給料だけじゃ足りないのよ。嫌な仕事だけど働かないとね。弟が無事に大学卒業するまでは頑張るつもり」
私が笑って見せると、杏子は私の髪を優しく撫でた。
「あんたも苦労するわね。早く結婚して楽になりなさいよ」
「結婚したからって楽になれるとは限らないよ」
私は真顔で否定する。
それに、寝たきりの父親がいる私と結婚したがるもの好きなんてきっといない。
杏子が楽しそうに私をからかう。
「変な気を回さないでよ。あんな格好いい顔が近くにあったら、誰だって赤面するよ。今日は夜のバイトもあるから平穏無事に過ごしたいの。必要以上に疲れたくない」
私が脱力して杏子に寄りかかると、彼女は片眉を上げた。
「まだあのバイト辞めてないの? 会社にバレたら不味いわよ。気をつけなさい」
私に注意するその口調はなんだか姉みたい。
「でも……うちの給料だけじゃ足りないのよ。嫌な仕事だけど働かないとね。弟が無事に大学卒業するまでは頑張るつもり」
私が笑って見せると、杏子は私の髪を優しく撫でた。
「あんたも苦労するわね。早く結婚して楽になりなさいよ」
「結婚したからって楽になれるとは限らないよ」
私は真顔で否定する。
それに、寝たきりの父親がいる私と結婚したがるもの好きなんてきっといない。