腹黒王子の取扱説明書
クラブのママがなに馬鹿な事言ってんのよ。

そんな夢見るような乙女みたいな事言ってるから五十過ぎても独身なのよ。

きっと私をからかって退屈しのぎをしたかったに違いない。

私は冷ややかに叔母を見据えた。

叔母は私の母の四つ下の妹。

身長は私と同じくらいだけど、見た目は三十半ばで顔もそこそこ整ってて、色気のない私としては悔しいくらい色っぽい。

仕事ではいつも着物姿で髪も毎日美容院でアップにしてもらってて艶やかだ。

そんな彼女のファンは多い。

銀座に店を持てたのも、どこかの大企業の社長さんが叔母さんに出資したかららしい。

モテるんだから誰か良い人と結婚しちゃえば良かったのに。

だが、叔母いわく、モテる=結婚できるではないらしい。

まあ、叔母さんは家事が苦手だし、大人しく主婦に収まるような人じゃない。

「どんな恋が芽生えるって言うのよ。せいぜいホステスとなんて愛人が良いとこよ」

そして、飽きたら捨てられるんだ。

私は吐き捨てるように呟く。
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