腹黒王子の取扱説明書
どうすることも出来ないまま呆然としていると、誰かに力一杯手を引かれ、そのままその人の胸に飛び込んだ。

痛い!

思い切り鼻を打ち恐る恐る顔を上げると、俊がスケベ親父と対峙していた。

何で俊がここにいるの?

「おい、何で邪魔をする!」

スケベ親父が俊に向かって声を荒げる。

でも、俊は彼には怯まず冷ややかな眼光で睨み付ける。

「この子は僕が指名したので、失礼」

俊が私の手を強く掴んで外に連れ出そうとする。

「ち、ちょっと待って下さい!私、まだ勤務中です」

手を引かれたまま私は俊に抗議する。

「問題ない。ママに話は通してある」

……つまり叔母さんを買収したわけ?

俊が冷たい口調で私に告げる。

彼が身に纏う空気がピリピリした感じがするのは気のせいだろうか?

ひょっとして怒ってる?

でも、何に?

怒りたいのは私の方だ。
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