腹黒王子の取扱説明書
「何勝手に連れ込まれてんの?」

俊が私を見下ろし、じっと私の目を見つめてくる。

「……仕事の話かと思って」

気まずくなって私はうつむきながら答える。

「廊下で見かけて焦った。大体、隙がありすぎ。俺が気づかなかったら、今ごろ押し倒されてたよ」

「まさか……。あはは……」

私が乾いた笑いを浮かべると、ギロッと俊に睨まれた。

「笑い事じゃない」

「でも、あの真面目な寺沢君に限って……」

「男なんてみんな狼なんだよ。連れ込むって事は、悪さする気があったって事。こんな風にね」

妖しく目が光ったかと思うと、俊は私に顔を近づけ軽く口付けた。

そして、何を思ったか大胆にも私の唇を甘噛みし、数秒堪能すると私から離れる。

まさか死角とはいえ、会社の廊下でキスされるなんて思わなかった。

びっくりして私が口をパクパクさせていると、俊が悪魔のように微笑んで言った。
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