腹黒王子の取扱説明書
俊には強がってみせたけど、やっぱり心のどこかで恐れてるのかな?

俊は毎日嫌っていうほど側にいて……冗談半分で私の事口説いて……うんざりしてたはずなのに……。

心にポッカリ穴が空いたような……。

「顔が寂しいって言ってる。好きなんでしょう、俊さん?」

「まさか!」

好きなんかじゃない。

「自分の気持ちに正直にならないと、他の女にとられるよ。顔はいいし、仕事は出来るし、お金もあるし……何が不満?しかも、相手があんなに好意を寄せてる。姉さん、贅沢すぎるよ」

贅沢……というか、そもそも釣り合ってない。

「……お父さんが亡くなってそんなに経ってないのに、すぐに恋愛とか結婚とか考えられないよ」

「もういい加減自分の事考えたら?僕の事は大丈夫だからさ。姉さんには幸せになって欲しい」

海里が真っ直ぐ私の瞳を見つめてくる。

「……海里」

「ほら、姉さんもそろそろ行かないと遅刻だよ」

待たせていたタクシーに海里と一緒に乗り込み、会社に向かう。
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