腹黒王子の取扱説明書
専務のマンションの住所もわからなかった私は、優しそうなコンシェルジュのお兄さんにタクシーを呼んでもらうと、そのままタクシーに乗って会社の寮まで帰った。

それから、急いでシャワーを浴びたけど、髪の毛を十分に乾かす時間もなくて、半乾きのまま会社に出勤した。

昨日、専務があの店に来なければこんなことにはならなかったのに。

二日酔いなのか頭は痛いし、身体もふらふらする。

それもこれも全部専務のせいだ。

パソコンを立ち上げている間に、机の上に置いてある書類を整理する。

ひょっとしたら、ここで働くのも今日で最後かもしれない。

いつ部長に呼ばれるだろう?

ちらりと部長の机に目をやると、部長は会議か何かで席を外していた。

パソコンが立ち上がると、杏子からチャットが入っていた。
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