腹黒王子の取扱説明書
【今日のランチどうする?】

専務にはああ言ったけど、警告されたばかりだし今日は杏子とランチするのは止めておいた方がいいかもしれない。

【忙しいから今日は自席で食べる】とチャットを打てば、杏子から【了解】とすぐに返事がかえってきた。

杏子には専務との事は言えない。

私が話せば、あの兄と妹の仲もこじれてしまうかもしれない。

多分、専務は杏子にはあの本性を見せていないと思う。

杏子は本能的に感づいているとは思うけど、私がその事を言ってはいけない気がする。

溜まっていたメールの処理を素早く済ませると、私は密かにまとめている自分の仕事に関するマニュアルのファイルを開いた。

これがあれば、私が辞めても大混乱にはならないだろう。

私の価値なんて所詮その程度のものだ。

代わりなんていくらでもいる。

ちょっと感傷に浸っていると、私の席の内線が鳴った。
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