俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
それは、琴乃が、母親の誕生日プレゼントを買いに、
ショッピングセンターへと訪れた時のことだった。


これといった物が見つからず、辺りを見渡した時、

向かいのショップから出てきた慶太と
その後ろを付いて歩く女の子が目に映った。


とっさに、売り物の影に身を隠した琴乃は、
そっと覗いて、ふたりが歩いて行く方向を確認すると、
距離を見計い、反対方向へと足早に歩き去った。


慌てながらも、とりあえず階を変えなければと、
一か八か下の階へと降りたち、軽く一息をつき、ふと思う。

「なんで逃げてんだろ?」
考えてみれば確かにその通りだ。


すると、合コン帰りのことが頭を過るのだった。


…逆のパターンではあったけど、
あの時の場合、あっちは友達が一緒だったし、
まず、逃げる理由が無かったということ…じゃあ、今あたしが逃げたワケは?
今日は、男と居たワケじゃないし、
あっちが女と居ても別に悪くはない…彼女がいてもおかしくないのだから!
なのに、なぜ?…


薄々、気付いては居るものの、
あることを認めたくない琴乃は、
惨めな自分を、慶太に見せたくなく…
ただ、それだけに、
自然と身体が反応したというワケだ。


ショッピング気分ではなくなり、ここから出るため、エレベーターへと向かう琴乃は、

その途中、

店頭に、色とりどりのパワーストーンを並たショップの前で、足を止めた。


そして今の自分に、なんらかのパワーを与えて貰えはしないものかと、手に取り眺めるのだった。
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