妖しがりて寄りてみるに
想い出

次の朝、割と早く目が覚めた。

部屋の横にある、洗面所で顔を洗う。

昨日、蓮くんにしてもらった髪の毛がボサボサになってる。


とりあえず、上の方でひとつにまとめてみた。


顔を洗ってリビングに行くと、すでに朝食が用意されていた。

「あら?日和ちゃんお早う。早かったね」

と台所に立つおばちゃん。

「おはようございます。」


私はごはんとみそ汁を受け取って、昨日と同じ席についた。

卵焼きと焼きシャケ。
おいしそう。


「いっただきま〜す」


もりもり朝から頂いてしまった。

そして、昨日と同じようにお盆に載せられた食事を運ぶ。



朝なのに、やっぱり薄暗い廊下。



トントン…とノックしたけど返事がない。

私はそっと襖を開けた。


布団がしかれたままで、蓮くんは眠っているようだった。

起こしてはいけないと思って、そっと食事をテーブルの上に置く。


部屋の中をグルッと見渡した。

蓮くんは、どんな本を読んでるんだろう。


そして、いけないとは思いつつも蓮くんの寝顔が見てみたくなって、そっと布団に近づいた。


スースーと寝息を立てて眠っている蓮くん。
長い睫毛。
通った鼻筋。
昨日、キスした唇。

まだ信じられない。

寝てて、ちょっとホッとした。
起きてたら、どんな顔で会っていいのかわからなかった。


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