妖しがりて寄りてみるに
夏祭り

「ヒヨちゃん、夏祭り今日だよ。」

昼ご飯を持って行ったとき、蓮くんがそう言った。


あれから、キスすることもなく、何事もなく毎日が過ぎていた。



「ウン。一緒に行こうね。私、おばちゃんに浴衣着せてもらうんだ。」

「じゃあ、僕も浴衣を着ていくよ。」


近くの郵便局で待ち合わせをすることにした。

家から一緒って、なんだか気恥ずかしいし。
照れくさい。


待ち合わせの方が、デートって感じがする。



お風呂に入って、
浴衣を着せてもらって、

蓮くんの部屋に向かった。



「待ってたよ」


蓮くんは、まだ浴衣じゃない。


私は髪の毛をまとめてもらうために蓮くんの前に座った。


蓮くんの指が私の髪をなぞる。



なんど触られても、全然慣れない。

電流が走ったみたいに、ぞくぞくする。


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